西尾市民家改修二 屋根

この家は、過去の改修時(昭和45年頃)に瓦替えを行われていた形跡がありましたが、増築部の撤去による下屋の欠損や垂木の補強も兼ねて、今回も瓦替えを行う事としました。

いぶし瓦の寿命はどのくらいなの?と、お尋ね頂くことが多々ありますが、個人的な意見は、家の立地条件により左右されるが、80年~100年前後と考えます。主に北面屋根瓦の方が傷んでいる場合が多く、理由としては、冬期の日射時間が短い為、瓦内部の水分が凍結・膨張し、それに伴い表面や内部の破損を引き起こします。そのことを職人の間では「瓦が凍てる」と言います。

また、隅棟や下り棟といった役物の熨斗(のし)から雨が入り、下地の土が流れ、野地板が腐食し屋根の一部を損傷するといった事例もよく目にします。瓦事体の寿命を迎えるより、野地・垂木から傷んでしまっているパターンの方が多数な気がします。家に関心を持ち続け、定期的に点検・メンテナンスをするという事が重要です。

外壁に板金が貼ってあった面は、天秤梁まで腐朽が進み、強度的にかなり不安定な状態でしたので一部構造材の組替えを行いました。板張りの外壁と違い、通気性や吸湿性も無いので、空気・湿気が動きにくくこのような朽ち方になったのではないかと考えます。伝統工法・手刻み・土壁であれば部分的な修復も可能です。

今回、瓦葺き部分はルーフィング不使用、コロシートという杉枌板をロール状にしたものを使いました。土葺きの時は、仮に雨が瓦下に入っても、多少の水は土が吸収してくれるので、その点は安心です。

次は瓦屋さんによる瓦土葺きです。10年振りくらいみたいですが、楽しそうに首を長くして待っています(^^)

施主さん・地域環境、そして我々職人にも喜ばれる家づくりをしていきたいですね!

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