先日、愛知県豊田市の中山間地域で茅葺き替えをされている民家に、お邪魔をしてきました。
私がお伺いした時は葺き替えの終盤の頃。茅葺き職人さんが、棟や妻側の仕上げや刈込みに手を付けてみえていました。棟からの景色は今しか見れないよ~、なんて言ってもらい屋根に上がらせて頂きました。
住まい手さんなどからお話を聞いていく中で一番驚いた事は、民家の築年数が80年程だという事。私が普段活動している尾張地方は、築80年程だとほとんど瓦屋根になっていると思います。おそらく尾張地方は昔から商業・産業が盛んで比較的裕福だったため、瓦屋根や漆喰といった建築材料が使用出来たのではないかと考えます。同じ時代でも、山間では農業を基盤とした生活の営みが「茅葺き屋根」として表れていたんですね。
その生活を今でも守ってみえていた住まい手さん。畑を耕し、葺き替えの時に出た茅のくずは土に敷く。井戸で水を汲み、囲炉裏で火を焚き、鍋を沸かす。手間は掛かるけれど、現代には無い豊かさがあるように感じますね。
あと一点、昔この地域は草山(あまり木の生えていない山)だったそう。しかし、戦後の造林政策で一面針葉樹(ほぼ杉)になり、田畑に日が当たらなかったり、湿気がすごくて住めない!と、家を建て替えられた方もいるそうです。造林や杉自体が悪いとは思いません。建築は地元の山の木を使いましょう、林業を循環させましょう、という事です。地元の木・手刻み・土壁で家づくりをされてはいかがでしょうか(^^)