ひと月ほどの荒壁養生期間も明けて、内・外部の造作に掛かり始めました。まずは霧除けひさしです。
桧の腕木・出桁・杉の隅木・垂木で造っていきます。まず、霧除けひさしを付ける理由としては、窓上からの雨漏りを防ぐ事が一番に挙げられます。実用的なものの中にも、景観や全体のバランスを考え造られていく事が日本建築の素晴らしさであり、難しさでもあると感じます。納まり等を考えて材木の寸法などを決めていきますが、実際に形にしていくと反省箇所も多々見えてきます…まだまだ勉強不足だと感じざるを得ません。


ひさしの次は外壁張りです。この辺りは西風が強く、隣地も空き地の為、西日もよくあたるので全面的に板張りとしました。仕様は三河杉の赤身を用いた「鎧張り」です。昔からの伝統的な板張り工法の一つであります。雨掛かりの激しい箇所もあれば、あまり雨当たらない箇所もあります。痛み具合も場所によって違うので、部分的にメンテナンス出来る事が大きなメリットです。
15ミリ厚180ミリ幅の杉板を下から順番に、30ミリの重ね代を設けながら張っていきます。この重ね代を設ける事によって、外壁面が段々になり水切れがよくなるわけです。段々に張っていく為、押さえ縁の加工も手間がかかります。手間をかけて徐々に形にしていくのが、大工の楽しさでもあり、醍醐味でもあります。



雨戸を収納する戸箱も、手作り・木製のものになります。昨今の住宅ですと、窓はアルミサッシが一般的になっていますが、この家はすべて木製建具になります。その理由は、伝統工法の家と相性が良いからです。寿命が長い・メンテナンス性が良い・景観が合う、などが挙げられます。木で出来ているので既製品のように廃番になる事もありませんし、後世の建具屋さんにもメンテナンスをお願いする事が出来ます。気密・断熱性はアルミサッシに劣りますが、それらを主としない(全く無視する訳ではありませんが)伝統工法の家づくりには木製建具が合いますね。
将来のメンテナンスの事も考えてアルミサッシを使用するのもアリですが、ご予算が許せば外部木製建具をオススメしたいです。


次は左官屋さんの外部仕上げ塗りの工程に移ります。